#特許取得アイ のガイドライン
およびライセンス契約について




特許第7042894号「人形用眼球」に関するお知らせ
2023年5月22日
はやぶさ国際特許事務所
弁理士 玉井 尚之

 この度、特許第7042894号(以下、「本件特許」ともいう。)の特許権者より、
本件特許の権利範囲を明確にするガイドラインを作成してほしいとのご依頼を受け、
本「特許第7042894号「人形用眼球」に関するお知らせ」を作成いたしました。
皆様のご参考になれば幸甚です。

権利は文章で決まりますので文章メインになります。
●概要
 本発明は、空洞凸レンズと空洞眼球体を使用することにより、画像や立体物が拡大されないと共に、彩光用物体を容易に交換できる人形用眼球を提供するものです。画像や立体物が拡大されないことによって、配置される虹彩が拡大されず、その分原物のサイズを大きくできるので、より精巧なドールアイが作成できます。ストーンを使用した場合、カット面の光の消失も防ぎます。また、虹彩用物体の製作も容易となります。
 請求項1に係る発明の構成は、空洞凸レンズ体、空洞眼球体および虹彩用物体です。
 空洞凸レンズ体は、中が空洞で底面が解放されている半球体の透明硬質材料製です。
 空洞眼球体は、中が空洞の球体で該球体の上部に上記空洞凸レンズ体を取り付けるための上部開口部と該球体の下部に作業用の下部開口部を備えた白色硬質材料製です。
 虹彩用物体は、空洞凸レンズの底面に配置されます。

●特許侵害に当たるかの、よく有るご質問についての回答
 Q
素材はどのように考えればいいですか? 空洞凸レンズ体は、透明硬質材料製と規定されています。
空洞眼球体は、白色硬質材料製と規定されています。
(※但し、空洞凸レンズ体を透明軟質材料製にする/空洞眼球体の白色をほかの色にする、または、白色表面部に血管等の模様を付する等の場合は、「均等侵害」に該当すると考えます。後述の「均等侵害」の部分をご参照ください)
虹彩用物体は、素材の限定はありません。
空洞眼球の白目空洞部分を後からレジン等で充填すれば問題ありませんか? 空洞眼球体の白目空洞部分を後からレジン等で充填したとしても、「均等侵害」に該当すると考えています。
趣味の範囲内なら作っていいですか? 趣味の範囲内かどうかでは決まりません。「業としての実施」かどうかで決まります。後述の「業としての実施」の部分をご参照ください。
趣味で作ったものをインターネットで開示するだけの場合は問題ありません。但し、販売目的の場合は該当します。
譲渡したいのですが問題ありませんか? 譲渡は実施に当たり、一般的に侵害に該当します。非営利目的でも該当します。例えば、東京都が浚渫工事の特許発明を無断で使用すると侵害になります。後述の「業としての実施」の部分をご参照ください。
本件特許前に似たような物を販売していたのですがどのようになりますか? 似たようなものでは確定的なことは申し上げることはできません。後述の、「直接侵害」「間接侵害」「均等侵害」に該当するかどうか正確に鑑定する必要があります。
また、本件特許の出願前に似たようなものを販売等していた場合は先使用権(特許法第79条)が発生し、侵害に問われない可能性があります。先使用権が発生しているかどうかは正確な証拠が必要となり、実施品と本件特許発明とを比較して同一であることが証明されなければなりません。
特許を侵害しているかどうか不安なのですが? 本ガイドラインに沿ってご判断ください。
難しい場合は簡易鑑定します。
このガイドラインの最後の部分にお問い合わせ先を書いています。


●ライセンス契約・およびクロスライセンス契約について

本件特許は広く皆様に利用していただきたく通常実施権のライセンスを有償で開放しています。

クロスライセンスとは、お互いの特許発明を利用しあう関係を言います。もし、本件特許のライセンスを受けてドールアイを製作される方が、さらに改良を加えて特許を取得されますと、本件特許権者とクロスライセンス契約を結んでお互いが利用しあいますと支払っていたライセンス料を支払わなくとも良い場合もあります。お互いが提携して世界に挑戦することも可能となるかもしれません。









 さて、特許権の侵害に該当するか否かは、特許法並びに最高裁判所及び高等裁判所で積み上げられた判例に基づいて検討されます。また、たとえ、権利範囲に属していたとしても侵害として問われないケースもあります。
以下に、特許権侵害に該当するか否かと、権利範囲に属していたとしても侵害として問われないケースについてご説明いたします。



1. 特許権侵害に該当するか否かについて
 特許の侵害に該当するか否かについては、2つの面から考えます。特許権の技術範囲の範囲内か否かと、特許権の技術範囲の範囲外であったとしても発明を保護奨励する観点から侵害であると認めるべきという観点の2つの面です。
 特許権の技術範囲の範囲内か否かの観点は、文言侵害(直接侵害)であるか否かとも言い換えられます。
 特許権の技術範囲の範囲外であったとしても発明を保護奨励する観点から侵害であると認めるべきという観点につきましては、間接侵害と均等侵害の2つに分けることができます。
 以下、直接侵害、間接侵害、均等侵害の順でご説明いたします。

(1)直接侵害について
 直接侵害は、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内かどうかで考えます。特許法第70条は、以下の通り規定されています。
「第七十条 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」
 発明は、技術的思想です。実施しようとする発明が、特許請求の範囲に記載された技術思想を具備(具体的には、構成要件を具備)する場合は、直接侵害に該当されます。
 特許発明は、特許請求の範囲の請求項毎に存在していますので、本件特許には3つの特許発明が存在しています。
 以下にご説明いたします。

【請求項1】
 中が空洞で底面が解放されている半球体の透明硬質材料製の空洞凸レンズ体、中が空洞の球体で該球体の上部に上記空洞凸レンズ体を取り付けるための上部開口部と該球体の下部に作業用の下部開口部を備えた白色硬質材料製の空洞眼球体および上記空洞凸レンズの底面に配置する虹彩用物体よりなることを特徴とする人形用眼球。
(説明)
 この請求項1に係る発明は、空洞凸レンズ体、空洞眼球体及び虹彩用物体の3つから成り立っており、この3つの構成は、以下の特徴を兼ね備えています。
・空洞凸レンズ体;[中が空洞]&[底面が解放されている半球体]&[透明硬質材料製]
・空洞眼球体 ;[中が空洞の球体]&[上部に上記空洞凸レンズ体を取り付けるための上部開口部]&[下部に作業用の下部開口部]&[白色硬質材料製]
・虹彩用物体 ;[空洞凸レンズの底面に配置]
 つまり、それぞれの構成は、上記特徴を有することが必要で、どれか一つでも欠けると本件特許の技術的範囲外となり、特許権行使の対象外となります。
 例えば、空洞眼球体の下部開口部が存在していたとしても作業が出来ない場合は、本件特許の対象外となります。


【請求項2】
上記虹彩用物体として、虹彩シート、画像シート、立体的彩光物体の群から選ばれた何れかを用いることを特徴とする請求項1に記載の人形用眼球。
(説明)
 請求項2は、請求項1の従属項で、虹彩用物体の特徴を記載しています。

【請求項3】
上記空洞凸レンズ体および上記虹彩用物体は上記空洞眼球体の下部開口部より該空洞眼球体の上部開口部に取り付けられると共に、上記虹彩用物体は上記下部開口部から交換可能に取り付けられる構造を有することを特徴とする請求項1に記載の人形用眼球。
(説明)
 請求項3も請求項1の従属項です。この請求項3は、空洞眼球体の下部開口部より空洞眼球体の上部開口部に取り付けられると共に、虹彩用物体は下部開口部から交換可能に取り付けられる構造ととらえたときの発明です。

 本件特許の出願は、一度の拒絶理由を受けることなく特許査定となりました。審査では下記の文献が考慮され、これらの人形用眼球と比べて新規性進歩性を有するということになりました。
下記表Aをご参照ください。


【表A】
文献番号   発明の名称 特徴図 
 特開平9-192356  人形又は動物玩具用眼球  
 特開昭57-139381  装飾用目とその製造方法  
 米国特許出願公開第2005/0064783  Artificial glass eye and methods of manufacture therefor  
 米国特許出願公開第2010/0048094  SIMULATED EYE FOR USE IN TOY  
 米国特許第4601673  ARTIFICIAL EYE  
 実開昭48-92091  玩具用活眼  
 特開2017-113122  人形用眼球  

 尚、上記表Aの7文献は、本件特許の出願の審査で引用されたもののみで、人形の目」(FI=A63H3/38)で出願された件数は1084件あります。
 また、「人形の目」(ICP=A63H3/38)で欧州に出願された件数は1130件あります。
 日本のみならず全世界でドールアイの新たな発明は日々行われ続けています。

(2)間接侵害について
 間接侵害は、特許法第101条に下記の通りに規定されています。
 (侵害とみなす行為)
「第百一条 次に掲げる行為は、当該特許権又は専用実施権を侵害するものとみなす。

一 特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

二 特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

三 特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為

四 特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

五 特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

六 特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等又は輸出のために所持する行為

(説明)
 間接侵害に関する101条は、予備的行為を未然に防止して特許発明の保護の完全を期するために設けられた条文です。
 本件特許は物の発明ですので、第1号~3号が該当し、主に1号についてみていただければと思います。2号と3号は、1号が理解できれば容易に理解できるからです。
 1号では、「その物の生産にのみ用いる物の生産・・・」等が該当します。「その物の生産にのみ用いる物」とは、本件特許では、空洞凸レンズ体、空洞眼球体、虹彩用物体の個々の部品を本件特許発明の生産のためにのみ生産等をする行為が該当します。

(3)均等侵害について
 均等侵害は、特許法に規定されているものではなく、最高裁判決(「無限摺動用ボールスプライン軸受」最高裁判決(平成10年2月24日))で確定された法理です。
 均等侵害とは、特許請求の範囲に記載の文言そのものの実施(文言侵害)ではないが、特許請求の範囲に記載されたものと実質同一(均等)のものは特許発明の技術的範囲に属する(特許権侵害を構成する)、との考え方をいいます。
 実施品が均等侵害に問われるか否かは、下記の5要件を具備する場合に均等侵害と判断されます。
(第1要件)非本質的部分
相違部分が特許発明の本質的部分ではないこと。
(第2要件)置換可能性
相違部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであること。
(第3要件)置換容易性(侵害時基準)
そのように置き換えることに、当業者(当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであること。
(第4要件)非公知性・非容易推考性(出願時基準)
対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから前記出願時に容易に推考できたものではないこと。
(第5要件)意識的除外等の特段の事情がない
対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないこと。

(説明)
 簡単にイメージしますと、車軸に特徴のある「馬車の発明」があったとします。請求項1に馬、箱、車輪等の構成要件が記載されていたとします。被疑侵害者が、馬の代わりに牛を使って牛車を生産したとします。
 「馬車の発明」の特許権者は、牛車を生産する者に対して、直接侵害や間接侵害で訴えることができません。
 そうなると、折角特許をとったとしても簡単に回避されてしまい、特許発明の保護に欠けることになり、法目的(発明の保護と利用により産業の発達を期する。)を達成することができません。そのようにならないようにするためにこの均等侵害の要件が確立しました。
 裁判における立証責任は、第1要件~第3要件は特許権者、第4要件と第5要件は被疑侵害者にあるとされています。
例えば、本件特許において、空洞眼球体白色白色硬質材料製の白色をほかの色にする、または、白色表面部に血管等の模様を付する等の場合は、均等侵害になると考えています。







 以下に、特許権侵害に該当するか否かと、権利範囲に属していたとしても侵害として問われないケースについてご説明いたします。


2. 権利範囲に属していたとしても侵害として問われないケースについて
 第三者が他人の特許発明を実施してもよいと特許法で定められる場合があります。「業としての実施」でない実施と、「試験研究のためにする実施」です。以下にご説明いたします。

(1)「業としての実施」でない実施について
 特許法第68条は特許権の権利範囲として以下のように規定されています。
「第六十八条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。」
(説明)
 この条文中、「業として」と規定されています。「業として」とは、一般に「事業として」と解されています。個人的、家庭内での実施に対しては特許権の行使を行うことはできません。そのような行為にまで権利行使を認めてしまうと保護が過剰になるためです。

(2)「試験研究のためにする実施」について
 特許法第69条は特許権の効力が及ばない範囲を規定しています。この規定の第1項が関係すると思われますので、以下に記載します。
第六十九条 特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。
(説明)
 この条文中、「試験又は研究のためにする」と規定されています。
 「発明を奨励し,もって産業の発達に寄与する」ためには,当該発明をした特許権者の利益を保護することが必要である一方,特許権の効力を試験又は研究のためにする特許発明の実施にまで及ぼすと,かえって産業の産業の発達を損なう結果となることから,産業政策上の見地から,試験又は研究のためにする特許発明の実施には特許権の効力が及ばないこととし、もって、特許権者と一般公共の利益との調和を図ったものと解されています。
 但し、試験または研究のために生産したものを特許権の存続期間が満了した後に、その試験または研究のために生産したものを販売すると侵害になります。生産時に特許権が有効に存在していたからです。



以上のガイドライン(指針)が皆様方のご参考になれば幸甚です。
このガイドラインに沿ってご検討ください。
判断が難しい場合は簡易鑑定でお答えできます。但し、一定の時間を要することから有償とさせていただいています。下記名刺の携帯番号かEメールアドレスまでご連絡ください。


【はやぶさ国際特許事務所】
弁理士 理学修士
玉井尚之

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 私は、個人事業主の皆様、中小零細企業の皆様に知財を通してサポートできればと思っています。
 日本は資源に乏しいながらも、かつてはGDP世界2位であったこともあります。これはとりもなおさず、改善改良の知恵が日本人に備わっているからに他なりません。
 この度、ドールアイの世界を少し知ることが出来、このドールアイが人々に感動・勇気を与えるものであることも知ることができました。
 日本のアニメ等のクリエーションは、世界の注目の的であります。一方、大手企業や外国企業は上記の通り日々沢山の特許出願を行っています。
 皆様方におかれましてもこれらの企業に負けることなく、皆様方の創作物が世界に拡がっていくことを願っています。



このドールアイは日々の生活のなかから着想を得て特許取得に至りました。
この度様々な経緯を経てガイドライン作成・ライセンス契約の実施に致りました。
皆様のドールライフがより一層豊かなものになりますように。

特許権者  花小鳥・凪 Twitter【pii_yuri











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